2012年5月15日 (火)

道を選べば西・東

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 マーク・サリヴァンが1980年、まだ学生時代に撮ったと思われるショートフィルム
後にサリヴァンはILMへ、『夢(1990/黒澤プロ_WarnerBros)』などにも名前が見えます

 ● DEGITALMATTE.COM

 シンプルな物語を様々なテクニックでまとめた、少し得した気分になれる小品
80年のアメリカなら、こうした技術の基本もスターログ誌などが詳しく解説していました
もう一つ前ならフェイマスモンスターズ誌、ディック・スミス監修の増刊号辺りですね

 この作品に登場する謎の宇宙船、その撮影にはストップモーションが多用されています
宇宙船が見せるアクションからの選択でしょうが、ビルの崩壊表現には不向きな選択です
素直に考えれば、動きを制御出来る模型を吊り、ハイスピード撮影というところでしょう

それでも、ここでコマ撮りを選ぶという部分に、私はアメリカの特撮文化を感じます
ビルを走るスパークもそうですが、コマ単位で細工すれば出来る、撮影に対する感性です
それがダイナメーションを育み、モーションコントロール撮影を実現させた基盤なのです

そして現在に続く道、その方向を決定付けた一番の因子に違いはないと考えるのです

2012年5月11日 (金)

低能の魅力

 ──── 『守護神 _ the Guardian(作詞/作曲:影山ヒロノブ_編曲:須藤賢一)』
これは2009年のテレビアニメ『真マジンガー 衝撃!Z編』が残した功績のひとつです

この曲を耳にし、私がなによりも素晴らしいと感じるのはその詞です
特に“空が割れる 炎が舞う 巨大魔神見参!”、このパートには圧倒されます
文字にすればなんということも無い文章ですが、「歌声」では印象がまったく違います
耳を傾ける私に“これほど頭の悪い唄は無い”という、強烈な確信を抱かせるのです

 もちろん「頭が悪い」という言葉は悪い表現ですが、これは私の持つ語彙の問題
この曲を聞いて、最も誠実に受け取った印象を表現するとそうなるということです
私は飽く迄も、『守護神 _ the Guardian』の美点を素直に表現しただけなのです

あえて例えるなら、その魅力は「子供の絵」と通じるものかも知れません
セオリーの痕跡が見当たらない、持たざることで達し得た、逆説的なリーチの距離
空が割れ、炎が舞い、そして巨大魔神、このイメージ力にそれと似た質を感じるわけです
それが現実に私を圧倒してしまう、決して抗うことの出来ない納得力を持っている
私は『守護神~』に明瞭なこの性質・効果を、「低脳力」と呼ぶことにしました

 こうした詞・表現はなかなか産み出せるものではないでしょう
無作為の作為に似たことなのかも知れません、緊張と弛緩を同時に行うようでもあります
直感で表現するなら、やはり才能やセンス、あるいは奇跡や偶然と呼ぶべきとも考えます

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 低能の魅力──────── 相反するものを同時に呑み、備える意識が肝要

低脳力は、エンターテインメントを観る者にとっては必須の条件とすら言えると思います

2012年1月18日 (水)

#30 殺虫剤でトラ狩り(u.s.#37_m+#30)

 ・act:Ⅰ "... Allo ..."
 ・act:Ⅱ "Tourist Hazards"
 ・act:Ⅲ "A Very Deadly Mine"
 ・act:Ⅳ "A Little Old Fashioned Water Torture"

──────── 章タイトルの表記形式が変わりました

インド某地、民衆弾圧の噂が絶えない独裁国家、革命の空気に包まれるパナット公国
低開発国委員会の依頼の下、実情確認に赴いたアンクルマンはジャングルの河に浮かんだ
ソロとイリヤの任務はパナット公国の実態調査の継続、そして大量の殺虫剤の所在確認
コンビは女性学者・スザンヌの助けを借り、公国を支配する独裁者・パナットに近づいた

 フランス人学者・スザンヌを演じるのは三度登場のジル・アイルランド
前シーズン、ジャベル夫人のスラッシュストーリーに出演して以来、カラーで登場です
緑のジャングル、泥に染まる河、坑道の岩肌に派手なルックスのアイルランドが映えます

 パナット殿下が公国の支配に使うのが「ダコイト」、“武装した盗賊団”を意味します
南・東南のアジアに偏在、ダコイトによっては民衆から英雄視されたケースも在った様子
廃村に残った民家の暗がり、手に手に山刀を持って現われる描写はそれなりの迫力です

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 いずれにしても、現地人が揃って水泳を苦手とするのが気になってくるエピソード
イリヤの水中作戦あたりで気になり始め、やはり殿下の入水描写には笑ってしまいます

■原題 Tigers Are Coming Affair, The

■演出 ハーシェル・ドアティ
■脚本 アラン・ケイルー / ポール・タッカホー(原作)

2012年1月17日 (火)

#29 亡霊が名画を狙う(u.s.#35_m+#29)


 ・act:Ⅰ "Whatever happend to dept. F?"
 ・act:Ⅱ "A better hostess than mortician"
 ・act:Ⅲ "Are we going to scream?"
 ・act:Ⅳ "Oooops"

スペイン・マドリッド、「回収者同盟」を名乗る者の手で元・ナチス将校が殺された
大金と引き換えに、ナチが略奪した芸術品を元の所有者へ戻す、それが回収者同盟だ
組織のモットーは“捜し、発見し、殺す”、彼らはどんなナチでも必ず見つけ出していた
この組織の手掛かりをローマ警察が掴んだと知り、アンクルも同盟の調査に乗り出した

 『スラッシュはゴーゴーがお好き』に続き、再びステッキ銃登場、流行なのでしょうか
ステッキ銃を使うのは回収者同盟に雇われた殺し屋・ヴァレッティ、鼻歌混じりにズドン

演じるのは坊主頭のテオ・マーカス(テオドール・マーカス)、面白いキャラクターです
『香港の黒い霧』でリチャード・キールを使ったガンツァー×ケイルー・コンビの担当回
2人揃うと、コミック方向に凝ったキャラクターを創って使いたくなるのかも知れません

 画面の派手なエピソードに続いたので、地味なくらい落ち着いた印象の作品です
展開に意外性が少ないのは残念ですが、クライマックスにウエットな描写は意外な印象
第2シーズンに在って、前シーズンの残り香を感じさせる内容だったと思います

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 ナチスの略奪美術品を扱った映画『大列車作戦(1964/D.F.P_L.F.A._L.P.A)』の予告編
主演はバート・ランカスター、監督はジョン・フランケンハイマー、配給はU..A.後にMGM
『0011 ナポレオン・ソロ』と同じ年の作品、何か共通したネタ元でも在るのでしょうか

■原題 Re-Collectors Affair, The

■演出 アルヴィン・ガンツァー
■脚本 アラン・ケイルー

2012年1月16日 (月)

落葉とくちづけ / 7800フィート35㎜の通り魔

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 ヴィレッジ・シンガーズの歌謡映画『落葉とくちづけ(1969/松竹)』からのヒトコマ

これは変な映画で、可愛い話と思わせてスリラーになってくる、実は怖い映画なのです
簡単にまとめれば、人違いから恋が始まったけれどその恋人は狂っていた、という物語

作った側の意識は── 少しヒネッた ── なのかも知れませんが、着地は隣の競技場
観ている方はずいぶん妙な感じがします、ある意味、これは通り魔のような作品でしょう

 狂った青年、現実と妄想の区別がつかない青年の役を若い頃の藤岡弘が演じています
映画の見所はこの藤岡の演技、意固地でありながら芯の弱そうな青年を好演しています

少し芝居がかった笑顔を振りまきながら、全ては妄想だったと明かされていくサスペンス
その後の藤岡弘を知る現在の観客なら、暴発を予感してスリル倍増するに違いありません

 機会があれば一度は観てもらいたい作品、特にマニアックな藤岡ファンにはお薦めです
良いか悪いかは別として、「藤岡弘」という配役が生む効果を身体で確認できるでしょう

 ※──────── この作品については、基本的に記憶のみに拠って書いています

2012年1月15日 (日)

キューピッドのマヨネーズ

モーズ・デイヴィスがカヴァーする『電撃フリント GO!GO作戦(1966/FOX)』
無くなっちゃいましたが、日曜の朝なら若山弦蔵さん、でも、この場合は小林清志さん

 “‥ブイヤベース”

このセリフが良いのです、スパイ映画では私はフリントの2本が一番好きです
小林さんが当てたキャラクターとしても、ジェームズ・コバーンはベストだと思います

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2012年1月14日 (土)

#28 スラッシュはゴーゴーがお好き(u.s.#34_m+#27)

 ・act:Ⅰ "... a most mysterious Landlord ..."
 ・act:Ⅱ "Who killed the bug?"
 ・act:Ⅲ "Breaking a new act"
 ・act:Ⅳ "That's show-biz"

スラッシュは在米幹部要員を記録した資料をヨーロッパ本部へ移そうと計画した
資料を奪取しようと行動を開始するアンクル、ところがソロは負傷中で充分には働けない
イリヤはベースマンに変装、スラッシュL.A.支部のカーヴァーが根城とするクラブへ潜入
クラブのどこかに隠された資料を探すイリヤ、同時にソロは建物の周囲を別働隊で固めた

 アバンタイトルのショートアクションにバズーカ砲、やり過ぎ感が素敵な幕開けです
スラッシュマン・カーヴァーは長身の色男、スラッシュガールを何人も引き連れています
演じるのはレイ・ダントン、現在で言えば高田純次の若い頃、銀のステッキ銃が武器です
ソロはこの男の策略によって左手を負傷、奪取作戦のチーフはイリヤが任命されます

それで暇になったソロが何をするかというと、なんと“アパート改修の現場監督”
本部は保安を高めるために隣接したアパートを購入、それを利用して部屋貸しを始めます
ついては改修費がかさんだので家賃を上げたい、それを店子に納得させろというものです
結局それが元でスラッシュの動きが判明、ソロも作戦に戻りますが、スパイの任務も色々
 

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 『0011 ナポレオン・ソロ』の音楽、基本はジェリー・ゴールドスミスのスコア
しかし全てをゴールドスミスが担当するわけではなく、エピソード毎に変わります
今回はジェラルド・フリード、特別編『帰って来たナポレオン・ソロ』も彼のスコアです
先シーズンも同様の体制ですが、第2シーズンでは各々の個性が際立ってきた気がします

 タラしにタラすプレイボーイ・スパイの対決、災いを転じて福と成すソロの脱出劇
邦題はシリーズ屈指のバカタイトルながら、ウエルメイドな仕上がりのエピソードです

■原題 Discotheque Affair, The

■演出 トム・グリース
■脚本 ディーン・ハーグローヴ / レオナード・スタッド(原作)

2012年1月13日 (金)

#27 キツネとタヌキ(u.s.#33_m+#28)

 ・act:Ⅰ "Get those nasties off our back"
 ・act:Ⅱ "Oh boy, Oh boy, Oh boy, Oh boy"
 ・act:Ⅲ "Think of girls"
 ・act:Ⅳ "Go get 'em tiger"

パリ、クラブマジシャンのマーリンが開発した電子思考解読器は本物だった
手に入れようと訪れたイリヤはスラッシュと鉢合わせ、狙いは彼らも同じだったのだ
辛くも解読器は手に入れたものの、ニューヨーク本部への移送ルートには危険がいっぱい
そこでウエイバリーは、休暇中で事件の詳細を何も知らないソロを囮に使うこととした

 モノが思考解読器だけに都合が良いということでしょうが、ソロには災難な作戦
結局、イリヤとマーリンのアシスタントだったミミも囚われてしまい自白剤の餌食に
白昼堂々、本部に現われたスラッシュフランスの幹部はウエイバリーと取引します

フランスから来たスラッシュの最高幹部、マートンはヴィンセント・プライスの好演
組織での昇進に焦るスラッシュウーマン・ベルモンの扱いに手を焼きながら、独自に行動
互いの腹を探りあう、アンクルとスラッシュの古株同士のやりとりに見応えがあります

原題は囮となったソロとスラッシュの関係を、“キツネと猟犬”で表しています
プライスの好演が、それを邦題では「キツネとタヌキ」へ変えさせたのだと思います

 課長考案の作戦自体はヒドイ作戦ですが、観て楽しい愉快なエピソードです

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 新シーズンを迎えて双方の秘密兵器(ガジェット)も増強された印象
今回登場する、アンクル本部前の消火栓に偽装した監視用スコープは愉快な傑作でしょう

■原題 Foxes and Hounds Affair, The

■演出 アルフ・ケリン
■脚本 ピーター・アラン・フィールズ / エリック・ベルコビッチ(原作)

2012年1月12日 (木)

#26 計算機に身体を張れ(u.s.#32_m+#26)

 ・act:Ⅰ "Where Thrushbirds Gather"
 ・act:Ⅱ "Golf, Gov?"
 ・act:Ⅲ "How do you think I got to be Captain?"
 ・act:Ⅳ "Tilt"

  ★──── 各章タイトルの邦題は無くなった様子、有る場合は邦題、無ければ原題を表記します

南アメリカ大陸、スラッシュはある独裁国家に設けた基地でスーパーコンピュータを開発
別名・最終計算機、これが稼動すれば世界の半分はスラッシュの物となる可能性が在った
アンクルが掴んだ情報に拠れば、コンピュータの運用開始までは既に一週間を切っている
厳重警戒網をかいくぐってコンピュータを破壊、ソロとイリヤの内外両面作戦が展開する

 1960年代に入ると、様々な公機関がコンピュータ(電算機)を購入し話題となります
従来に比べると汎用性の高い、コンピュータの社会流通が一般的になってきたわけです
人工の神という風なイメージが、“スーパーウエポン”程には身近になっていたのです

 第2シーズンに入り番組のイントロも一新、1960sスパイアクションの軽快なイメージ
映像がカラーになったことに加えてちょっとしたSpfxも、予算の増大が画面から伺えます
セットの色彩設計もカラフル、ソロとイリヤのコンビネーションも有機性を増しています
こうした方向は、第1シーズンで好評だった部分を伸ばした結果なのだと思います

 パイロット版から第1シーズンをプロデュースしたサム・ロルフが第一線から後退
アシスタントのジョージ・レアーはそのままに、デヴィッド・ヴィクターへ交代します
第3シーズンに提供したプロットが映像化、それが劇場用作品にも再利用された人です

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 トレードマークのペン型通信機も登場、ソロもより軟派化、変化が楽しみな幕開けです

■原題 Ultimate Computer Affair, The

■演出 ジョセフ・サージェント
■脚本 ピーター・アラン・フィールズ

2012年1月11日 (水)

ナポレオンは本当にソロだったのだ


『0011 ナポレオン・ソロ(1964/Arena_MGM)』、シリーズ・第1シーズンを観終えてのまとめ

今回は本国のオンエア順に沿った形での放映でしたが、そこからの収穫は多かったです
イリヤ・クリアキンの位置づけが、本当に初期はアシスタント的な「脇役」であること
スパイカルチャーらしい小道具類よりも、スパイらしさを物語の内容に求めていること
そうしたことが、今回の放送を順番に追うことで、より鮮明に理解できたと思います

初期の『0011 ナポレオン・ソロ』は、まさに“ミスター・ソロの冒険”だったのです

 こうした性格の第1シーズンの中で、面白かったベストスリーを選んでみました

 ●#21_u.s.#25_m+#08──────── 拾った危険

 ●#24_u.s.#28_m+#15──────── つかの間の生涯の物語

 ●#25_u.s.#29_m+#10──────── 老スパイは死なず

 ソロとイリヤの活躍が比較的バランス良く配分され、愉しめたのは以上の三本です
『拾った~』のユーモア、『つかの間~』のスピード感、味わい深い『老スパイ~』
どれも、一般的な“ナポソロ”のイメージの中に置いて、違和感も無い作品だと思います

 これらのエピソードに加え、色濃く第1シーズンらしさを残したベストは以下の2作品

 ●#07_u.s.#10_m+#11────────  アザラシが死を運ぶ

 ●#09_u.s.#12_m+#20────────  鳩は何を告げる

北欧に少年とソロの道中を描く『アザラシ~』、決死の脱出行をタイトに描く『鳩は~』
いずれも基本的にソロが単独で活躍するプロット、そして相手役が印象に残るエピソード
そこに私は良い相手でより輝きを増すキャラクター、“ナポレオン・ソロ”を見出します

 アンクル本部の描写が多いことも、第1シーズンを観直してみて気がついたことです
それは『ウルトラセブン(1967/円谷)』や『謎の円盤UFO(1970)』に影響を与えたでしょう
そしてそれは逆に、そうしたファンタシー的ムードをアンクル組織に与えてもいるのです
私はこれが、多くの子供が『0011 ナポレオン・ソロ』を支持した背景だと考えます

また、低年齢層の支持といえば組み立て銃の「アンクル・スペシャル」も重要な要素
基本的に拳銃はシルエットが特徴的なワルサー、コルト、ルガー、モーゼルが登場します
その4種類のうちでルガーとモーゼル、これを所持しているのはほとんどが悪党です
手のひらに握られた銃をタイプキャストした明解さ、これもまた番組の魅力と思います

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 ちなみに近年の放送に倣って、今回もオンエアが見送られたエピソードがあります
また劇場版へ転用されたエピソードも、字幕なりでオンエアしてもらえればとは思います

 ともあれ、緊張感溢れたメロディと、髪の分け目が移動するソロともこれでお別れです

«#25 老スパイは死なず(u.s.#29_m+#10)

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